『メタボとは2.メタボリックシンドロームの診断基準について』 | ドクター蜂谷のStay Healthy!

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2020.06.29

『メタボとは2.メタボリックシンドロームの診断基準について』

メタボリックシンドロームの原因は内臓脂肪にあります。ですから、診断に必須なのは内臓脂肪の多少です。CTスキャンで腹部断面の内臓脂肪面積100㎠が目安とされていますが、CTスキャンは大掛かりな検査機器であり、簡単には検査はできません。村の小学校や公民館でも手軽に健診できるようにと100㎠に相当するウエスト径を調べたところ、日本人では男性85㎝、女性90㎝に相当することが解りました。

ところで、肥満ということであれば、BMIで良いのではという意見が出ると思います。BMIは世界中で用いられる体格指数、体重(Kg)を

身長(m)×身長(m)で割ったものです。体重60Kg、身長160㎝であれば、BMIは60÷1.6÷1.6で23.4となります。ちなみに18.5~25未満が普通体重で、25以上は肥満、18.5未満は低体重とされます。

なぜBMIではなくて、臍の高さのウエスト周囲径が用いられるのか、重要なのは内臓脂肪であって皮下脂肪ではないということなのです。皮下脂肪が多いための肥満は内臓脂肪が少なければメタボとは言えません。また、男性85㎝女性90㎝と、男性が小さいのは日本人に特徴的なようです。

 メタボの診断基準は2005年4月にできました。下記の通りです。

 必須項目:腹囲径(男性85㎝,女性90㎝)

があり、さらに下記の3項目中2項目が該当するとき。①血圧130/80以上(または治療中)、②空腹時血糖値110以上(または糖尿病治療

中)③中性脂肪150以上またはHDL-コレステロール(善玉コレステロール)40未満または治療中。

ここでLDL-コレステロール(悪玉コレステロール)が診断基準に入らないのは何故かと疑問に思われるかもしれません。実は、LDL-コレステロールはメタボリックシンドロームとは無関係に単独で危険因子であることが解っており、内臓脂肪肥満(インスリン抵抗性)とは別の機序によるものだからです。※インスリン抵抗性という新しい言葉が出てきました。長くなるので今回は省略(次回に)しますが、内臓脂肪過多とインスリン抵抗性は同じことを意味します。そしてインスリン抵抗性(インスリンというホルモンが効きにくい体質)こそが現在話題となっている2型糖尿病の根本的な原因なのです。

 【蜂谷 春雄プロフィール】

蜂谷春雄

高岡市伏木生まれで、伏木保育園・伏木小学校・伏木中学・高岡高校。大学で初めて市外に出て自治医科大学(6年間全寮制で仲間と毎晩地域医療談義)。

昭和55年、富山県立中央病院(2年間)臨床研修医。

昭和57年、氷見市民病院が僻地中核病院に指定され、それと同時に富山県からの出向で氷見市立氷見市民病院(26年間)。僻地巡回診療を26年行った。気が付くと、27歳の最年少医師から53歳の最古参医師となっていた。氷見では副院長・地域医療連携室長・糖尿病センター長を兼務。

平成20年4月、高岡市民病院内科主任部長に着任、その後、医療局長を経て、市民病院理事・副院長で令和2年3月定年退職。

僻地診療26年間と医療機関連携を評価され、平成23年に第5回地域医療貢献奨励賞し家内と一緒に東京で授賞式に行ったことや高岡市民病院を地域医療支援病院にできたことなどが嬉しかった思い出。

定年退職後の現在、高岡市民病院非常勤医療相談役で主に内科外来診療と糖尿病を担当。日本糖尿病学会専門医、日本糖尿病協会療養指導医、富山県糖尿病対策推進会議幹事、日本糖尿病協会富山県支部常任理事、日本内科学会北陸支部評議委員、日本医師会認定産業医。

地域の医療機関へ応援や将来の医療スタッフの育成などを通して、地域医療にさらなる貢献ができればと願っている。

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