「6月19日に思う」 | 佐野慎輔の野球をあるく

佐野慎輔の野球をあるく

2020.06.18

「6月19日に思う」

  6月19日は何の日? そう問われれば、すぐに答えが返ってくるだろう。そう、2020年プロ野球の日本野球機構(NPB)公式戦が開幕する日だ。

 3月20日に予定されていた開幕は、新型コロナウイルス感染拡大によって3カ月延びた。試合数は144から120試合に縮小、セ・パ交流戦もオールスター戦も行わず、クライマックスシリーズはセが中止、パは短縮される。唯一、日本シリーズで日本一は決めるが、さまざまな記録達成はさて、どうなっていくだろうか。しかも当面は無観客試合。球音は戻ってきても歓声はまだ先、盛り上がりにはほど遠い。
 ルートインBCリーグは20日開幕する。わが富山GRNサンダーバーズは石川ミリオンスターズと富山県営球場で対戦。1000人限定で社会的な距離を保ちながらだが、観戦を可能にした。もちろん観客には検温、マスク着用をお願いし、大声での応援や鳴り物は禁じられた。それでもいい。野球をみる楽しみを忘れない挑戦にほかならない。
 6月19日は、私たちの楽しみ、野球の試合が世界で初めて行われた日である。
 野球の起源に諸説あるなかで、英国の球技ラウンダーズをもとに米国で発生したタウンボールが発展していった形とする説が有力視されている。タウンボールとは投げたボールを打ち、4つの塁を使って遊ぶゲーム。塁間やファウルラインなど決まりはなかった。
 その名の通り都市部で親しまれていたタウンボールを、4つの塁の塁間距離やファウルライン、9人という選手数、スリーアウトによる攻守交代などかたちを整えてベースボールに仕立てたのがアレクサンダー・カートライト。ニューヨークの銀行家である。
 カートライトは1845年に最初の野球チーム、ニッカボッカーズを結成。翌46年6月19日、ニューヨーク・ナインを相手に初の試合を行った。ところはニュージャージー州ホーボーケンのエリジアン・フィールド。ニューヨークの中心部から車でおよそ30分の距離にある。
 20年ほど前、1度だけ、この地を訪ねたことがあった。野球発祥の地と認めさせる運動を続ける人たちに話を聞き、街なかを案内してもらった。エリジアン・フィールド跡地の公園からはハドソン川越しにニューヨークのスカイラインがよくみえた。
 カートライトの時代から175年、野球はアメリカと日本では「ナショナル・パスタイム」と称されるほど発展した。ファンという名の野球愛好者たちが育んだ歴史の積み重ねだといっていい。
 コロナ禍は野球とファンの間に大きな壁をつくった。なあに負けるもんか。野球と野球ファンとの間には長い歴史の絆がある。スタジアムに球音が戻れば、やがて歓声も返ってくる。その日まで、もう少しの辛抱だ。コロナ禍からの再出発が初めて野球の試合が行われた日にあたったことに因縁を思う。

 【佐野慎輔プロフィール】

佐野慎輔

【略歴】

  • 県立高岡高校、早稲田大学卒
  • 1979年、株式会社報知新聞社に入社、運動部記者としてプロ野球を担当(巨人、ヤクルト、西武、遊軍)
  • 1990年、報知新聞社退社後、株式会社産業経済新聞社入社
  • 産経新聞運動部でプロ野球(西武)を担当後、オリンピック担当
  • 産経新聞シドニー支局長、外信部次長、編集局次長兼運動部長兼論説委員、業務企画統括兼資材部長等を経て、サンケイスポーツ代表、産経新聞社取締役を歴任し、その後、産経新聞特別記者兼論説委員を務める

2019年4月末で産経新聞社退社

【現在の役職】

  • 産経新聞社客員論説委員
  • 公益財団法人笹川スポーツ財団理事・スポーツ政策研究所上席特別研究員
  • NPO法人日本オリンピックアカデミー理事・マーケティング委員長
  • 公益財団法人日本財団アドバイザー
  • 公益財団法人ブルーシー&グリーンランド(B&G)財団理事
  • 一般財団法人日本モーターボート競走会評議員
  • 早稲田大学非常勤講師(春学期・スポーツとメディア論、7年目)
  • 立教大学、同大学院非常勤講師(秋学期・スポーツとメディア論、2年目)
  • 2020東京オリンピック・パラリンピック組織委員会メディア委員
  • 2019ラグビーワールドカップ組織委員会顧問
  • 一般社団法人日本スポーツフェアネス推進機構運営委員、表彰委員
  • スポーツ議連レガシー創出プロジェクトチーム・アドバイザリーボード
  • 東京運動記者クラブ会友
  • 野球殿堂競技者表彰委員
  • プロ野球OB記者クラブ会員
  • 野球文化学会会員

【最近の著書、共著】

◎主な著書

『嘉納治五郎』『金栗四三』『中村裕』『田畑政治』(以上、小峰書店)

『日本オリンピック略史』(出版文化社)

◎主な共著

「スポーツと地方創生」「スポーツ・エキセレンス」「スタジアムとアリーナのマネジメント」「スポーツ・ファン・マネジメント」「企業とスポーツの現状と展開」(以上、創文企画)

「日本のスポーツとオリンピック・パラリンピックの歴史」「オリンピック・パラリンピックのレガシー」「オリンピック・パラリンピック歴史を刻んだ人々」「スポーツ白書」(以上、笹川スポーツ財団)

「日本のラグビーを支えた人々」(新紀元社)

◎主な辞典等の執筆

「JOAオリンピック小辞典」(メディアパル)

「21世紀スポーツ大辞典」(大修館書店)

◎主な監修

「オリンピック・パラリンピック大百科全8巻」「オリンピック・パラリンピック」で知る世界の国と地域全6巻」(以上、小峰書店)

「3つの東京オリンピックを大研究全3巻」(岩崎書店)

「オリンピック・パラリンピック全競技全6巻」(ポプラ社)

「全競技がわかるオリンピック・パラリンピック全3巻」(国土社)

「オリンピックもの知りチャンピオン」(くもん出版)

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