『メタボとは ・・・ 1.本体は内臓脂肪』 | ドクター蜂谷のStay Healthy!

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2020.06.08

『メタボとは ・・・ 1.本体は内臓脂肪』

メタボ予防とか、メタボ対策とか、メタボという言葉は日常的に使われていますが、これはメタボリックシンドロームからの派生語です。また、このメタボリックシンドロームという概念の歴史は非常に浅く、最近のものです。

かつて私たちは生活習慣病の予防は、独立した危険因子(高血圧、高血糖、脂質異常、肥満など)一つ一つに対処していくことと考えていました。しかし、また同時に、各危険因子はそれぞれ互いに関連性が強い(高血圧は肥満に多く、肥満では脂質異常や糖尿病になりやすい、糖尿病では高血圧の人が多いなど)ということも知られていました。一見、それぞれ独立しているように見える危険因子の底流に共通する何かが潜んでいると解り、メタボリックシンドロームという概念が確立したのです。

一方、脂肪組織には、内臓脂肪と皮下脂肪があります。かつて、脂肪組織(それを形成する脂肪細胞)は単なるエネルギー貯蔵庫であると考えられていました。ところが、現在では、脂肪組織は最大の内分泌臓器と考えらえており、数百種類に及ぶ生理活性物質(ホルモン・アデイポサイトカイン)を分泌し、身体全体に多大な影響を及ぼしていることが解っています。(皮下脂肪も大きな役割を持っていますが、今回は、内臓脂肪の変身について触れたいと思います。)過剰な栄養が内臓脂肪に貯まると、内臓脂肪細胞は大型になり、栄養が減少すれば小型脂肪細胞になります。大型が大半を占めれば内臓脂肪肥満になり、小型になれば痩せを意味します。大型脂肪細胞からは、例えばTNF-α、PAI-1など血管を傷つけたり、血栓を作り易くするような悪玉の炎症性サイトカインが多数分泌され、一方、小型脂肪細動からはアデイポネクチンという抗糖尿病・抗動脈硬化作用を持つ善玉のサイトカインが分泌されます。このことから、内臓脂肪の多い(大型脂肪細胞)、少ない(小型脂肪細胞)が生活習慣病のなりやすさに大きく影響を与えることがわかります。

独立した危険因子(高血圧、高血糖、脂質異常、肥満など)と考えられていた因子の底流にある共通したものの正体は悪玉サイトカインであり、内臓脂肪細胞の大型化、つまり内臓脂肪肥満だったのです。改善策は言うに及ばず、小型にすること(内臓脂肪を少なくすること)に他なりません。摂取エネルギーを少なく、消費エネルギーを多くして、内臓脂肪を小型化しましょう。


 【蜂谷 春雄プロフィール】

蜂谷春雄

高岡市伏木生まれで、伏木保育園・伏木小学校・伏木中学・高岡高校。大学で初めて市外に出て自治医科大学(6年間全寮制で仲間と毎晩地域医療談義)。
昭和55年、富山県立中央病院(2年間)臨床研修医。
昭和57年、氷見市民病院が僻地中核病院に指定され、それと同時に富山県からの出向で氷見市立氷見市民病院(26年間)。僻地巡回診療を26年行った。気が付くと、27歳の最年少医師から53歳の最古参医師となっていた。氷見では副院長・地域医療連携室長・糖尿病センター長を兼務。
平成20年4月、高岡市民病院内科主任部長に着任、その後、医療局長を経て、市民病院理事・副院長で令和2年3月定年退職。
僻地診療26年間と医療機関連携を評価され、平成23年に第5回地域医療貢献奨励賞し家内と一緒に東京で授賞式に行ったことや高岡市民病院を地域医療支援病院にできたことなどが嬉しかった思い出。
定年退職後の現在、高岡市民病院非常勤医療相談役で主に内科外来診療と糖尿病を担当。日本糖尿病学会専門医、日本糖尿病協会療養指導医、富山県糖尿病対策推進会議幹事、日本糖尿病協会富山県支部常任理事、日本内科学会北陸支部評議委員、日本医師会認定産業医。
地域の医療機関へ応援や将来の医療スタッフの育成などを通して、地域医療にさらなる貢献ができればと願っている。
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