佐野慎輔の野球をあるく
2020.11.04
日本野球の歴史を思う道
故あって東京・神田の日本学士会館を訪れたおり、改めて敷地の一角にあるモニュメントの前に立ってみた。野球のボールを握った右手をモチーフとしたブロンズ像の台座には、「日本野球発祥の地」とある。
2020.08.04
「事に備える」
収まりつつあった新型コロナウイルスの感染拡大が、東京をはじめ首都圏でぶり返している。小池百合子氏が再選された東京都知事選投票日の7月5日を前後して、東京では6日連続して、感染者が100人を超えた。政府も都もそれを否定したが、「第2波」の来襲を思った方も少なくあるまい。
時を同じく、集中豪雨が九州地方を襲い熊本県球磨川流域などに甚大な被害をもたらした。近年では7月から台風の影響も加わる秋ごろにかけ、集中豪雨が日本列島に大きな災害を連れてきている。今年はコロナ禍の収束をみないまま、豪雨、台風の季節を迎えた。「複合災害」を意識し、備えを強固にしていく必要がある。改めてそう思う。
おりしも、日本野球機構(NPB)は7月10日から観客をスタンドにいれた有人試合を開催。5000人、または収容人数の半数以内のいずれか少ない方でとの但し書きがつき、感染防止策を講じた上で観客席を開放する。選手やチームスタッフ、審判員などにPCR検査を実施することはいうまでもない。備えを整えることは当然の措置だ。
有人試合に先鞭をつけたのは富山サンダーバーズにほかならない。失礼ながら、日ごろは来ない数の報道陣が石川ミリオンスターズとの開幕戦が行われた富山県営球場に集まった。関心の向こう側にはNPBやJリーグの有人試合がある。いいではないか、大きな組織よりも先に、BCリーグの1チームが世間の注目を集めたことに意義がある。永森茂球団社長の英断だと評価したい。
もちろん、開催に際しては万全な対策が講じられた。人の命にまで影響を与えかねない感染症の怖さを考えれば、備えに「これでよし」ということはない。今後も油断せずに備えを固めてもらいたい
このコロナ騒動から、われわれが学ぶことがあるとすれば、新しい生活様式、すなわち社会的な距離の取り方とリモートによる会議や打合せとともに、「事に備える」という意識の再確認ではないだろうか。
「備え」の重要さを、口を酸っぱくして説いたのが、故野村克也さんだった。
野村さんは専属評論家だったサンケイスポーツに連載した『ノムラの考え』で、こう書いている。「野球の8割が備えで決まる」
「備え」というと「守備」―守りを固めることに思いはいきがちだが、野村という人はそれほど単純ではない。打撃、バッターボックスに立つときの「備え」を説く。以下はサンスポの編集委員が亡くなった後、『よみがえるノムラの金言』として構成した6月12日付の紙面である。曰く…
主に、打者が甘い球を打ち損じたとき。「直球を狙う…」では不十分。「高めの球だけ」「バットを立てて」「コンパクトに振る」などと、心構えを重ねておくべし
こんな状況になったら、次はどうする。いかに「二の矢」「三の矢」を放つか。「二段構え」「三段構え」で備えておけという教えである。この二段、三段構えは展開によって変わっていく作戦面にもあてはまれば、もちろん守備につく心構えも示す。常に「備えを固めて」おくことの重要さを教えてくれる。名打者、名捕手、名監督の極意である。
日本には「備えあれば憂いなし」とのことわざがある。憂いなしとまで言い切れないだろうが、世の中の「8割は備えで決まる」のではないか。普段の生活、仕事、そして災害…「備え」はすべてに重要だ。改めて「事に備える」意義を、今この時期だからこそ、野村さんの教えとともに噛みしめたい。
2020.07.10
「勝ちに不思議の勝ちあり」
野球に限らず、スポーツのチームとは監督の姿勢が大きく反映されるものである。勝負の世界だから、多くの場合は保持する戦力の差に勝敗が左右され、名監督が必ずしも常勝監督となるとは限らない。勝ったり負けたり、たとえ成績は振るわない時があっても、優れた監督というものはチームや選手たちに大きな足跡を残してくれるものだと思う。
2020.06.18
「6月19日に思う」
6月19日は何の日? そう問われれば、すぐに答えが返ってくるだろう。そう、2020年プロ野球の日本野球機構(NPB)公式戦が開幕する日だ。
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